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「歌舞伎城」がオープン 訪日外国人旅行者(インバウンド)の受け入れに特化 新宿・歌舞伎町に誕生 エボラブルアジアなども参画

2017年6月28日(水) グランドオープン

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新宿・歌舞伎町のゴジラロードに訪日外国人旅行者向け観光施設「歌舞伎城」が誕生した。両替からお土産、居酒屋、文化体験まで、訪日外国人のほしいがすべて詰まった施設となった。(写真は6月28日(水)に行われたオープニングイベントのようす。左から、あどばるの中野邦人社長と、ログバーの山崎貴之COO、ビジョンの佐野健一社長、エボラブルアジアの吉村英毅社長、ハバーの紀陸武史CEO、OneSelfの和地貴史代表)

 

 地下1階から屋上まで、5フロアで構成される「歌舞伎城」。オープニングセレモニーに先立って行われた内覧会では、1~3階と屋上を見学することができた。地下1階はコワーキングスペース「寺小屋」という名で、レーザー加工機や、apple社製のMACを用意し、デザイナーやアーティストの制作支援を行う場所として活用される予定で、現在準備中。制作物は「歌舞伎城」1階での販売も計画している。

 設置する外貨両替所や貨幣を電子マネーに変える端末などは、第1号店や空港以外初の設置となるため、全国的に見ても非常に先進的な取り組みといえる。

 ビジョンの佐野社長は、「国内で少子高齢化が進むなか、訪日旅行者の取り込みは必須事項。一時のブームではなく、1つの産業に育てていかなくてはいけない」と語り、一歩一歩できるところから始め、徐々に取り組みを強化していく方針だ。実は同施設、オープニングセレモニーが数日ほど延期されていたが、多様なサービスを取り込み提供する点から、立ち上げと運営の大変さがよく分かる。課題などについても、展開しながら解決に向け模索していくこととなりそうだ。

 以下、各フロアについて紹介する。

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あいさつするビジョンの佐野社長。

 

1階:インバウンドサービス案内所「歌舞伎城」

 エボラブルアジアのグループ会社「Airtrip Exchange」が運営する外貨両替所や、ポケットチェンジ(青山新社長)が提供する紙幣・外貨を電子マネーに交換する電子端末などが並び、街中での利便性向上を狙う。ビジョンが提供する「NINJA Wifi」と、持ち運べる翻訳機「ili(イリー)」の貸出も実施。

 外国語対応のスタッフもおり、歌舞伎町の飲食店の紹介など、アナログの交流も欠かさない。

 「Airtrip Exchange」では、12種類と外貨の取り扱いが幅広い。主要国以外からの旅行者でも、安心してショッピングやお店で支払いを済ませることが可能だ。エボラブルアジアの吉村社長は「クレジットカード対応のお店は多いが、履歴を残したくないなど、支払いには海外旅行ならではのニーズがある。ここ歌舞伎城をスタート地点として、来訪者の利便性を高め、訪日需要の増加に貢献したい」と抱負を語る。

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外貨両替所のようす。デジタルディスプレイで為替情報を常時更新。明るく分かりやすい表示と店内を心がけた。

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抱負を語るエボラブルアジアの吉村社長。

 「ポケットチェンジ」は、 外国の貨幣を投入すれば即、楽天Edyやアマゾンギフト券、ワオンといった電子マネーに変換できるという端末。2017年2月から、羽田空港でも設置されており、海外旅行からの持ち帰った紙幣などを、両替せずに済むと好評を博している。「歌舞伎城」では、訪日外国人旅行者の使用を想定。英語や中国語、韓国語に対応し、居住国を選び、希望する電子マネーを選択すればその場ですぐに変換される仕組みとなっている。

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ポケットチェンジの端末(真ん中)。これ1つで、通貨を利用したい電子マネーに変換することができる。海外での利用の多いメールアプリ「Viber」での決済機能にも対応している。

 「NINJA WiFiは、ビジョンが訪日外国人向けに提供するWi-Fi接続端末。SIMカードの貸出と異なり、データ量には原則制限がなく、「900円(税抜き)✕日数」の価格でレンタルできる。SoftBank 4Gを利用し、 下り最大165Mbpsと高速なインターネットアクセスを実現する。

 ビジョンの五味陽介広報・IR部部長は「これまで、各空港で利用されてきた。利用実績は50万人にも及ぶ。現在、新千歳空港から那覇空港まで、全国の空港で14のカウンターを設置しており、受取や返却が可能だ」と強調する。レンタルには、専用の電子端末を利用し、パスポート情報も読み取るため、安全面での配慮にも力を入れている。

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手前の白い端末が、NINJA WiFiのレンタル端末。タッチパネル形式で、貸出に時間はかからない。

 「ili(イリー)」とは、手運びできるスティック型の翻訳機。「お店の場所はどこ?」など、ワンフレーズの翻訳に特化したもので、インターネット接続を必要としないのが特徴だ。そのため、ボタンを押し、翻訳したいフレーズをつぶやくだけで必要とする言語を素早く聞くことができる。

 交渉など、ビジネスでの利用には限界があるが、お店さがしや、駅までの距離など、観光目的での利用には十分対応できる仕様となっている。「歌舞伎城」では1,000円/1日でレンタルしている。ログバー(吉田卓郎CEO)による提供だ。

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手前に並ぶのがウエアラブル翻訳機の「ili(イリー)」。貸出時には、外国語の話せるスタッフが対応。もちろん、日本語での対応も可能。

 日本のお土産も買えるのが「歌舞伎城」の特徴。酒類の販売は今後実施する予定で、書道や和のデザインをあしらったスマートフォン用ケースから日本刀(真剣)まで、本格的な日本土産をゲットできる場も目指す。

 そのほか、ガイドブック「SHINOBI」の無料配布や、レストラン予約サービスも実施。予約サービスは、外国語を話せるスタッフが直接お店まで連れて行くため、直前でのキャンセルといった、訪日外国人旅行者ならではの問題への対策も万全だ。

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真剣の販売については、銃刀法の登録にも対応する本格的なサービス展開。

 訪日外国人向けガイドマッチング「TOMODACHI GUIDE」の案内・申込受付にも対応。現在注目のベンチャー企業であるHuber(ハバー)が提供する「TOMODACHI GUIDE」は、地元住民といった地域に詳しい個人が、来訪者を案内するというSNS(交流サイト)感覚のガイドサービス。通訳者が加わり、2人で協力してガイドを行うことが多い。

 「歌舞伎城」では、サービスを紹介するパンフレットを置くほか、実際にガイドと訪日外国人旅行者のマッチングも行う。同社の紀陸CEOは、「インバウンドの受け入れに貢献したい」と語り、サービスの浸透拡大も視野に協力していく姿勢だ。

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協力を惜しまないと語るHuberの紀陸CEO 

2階、3階、屋上:「和風酒処 歌舞伎城」 昼は「体験スペース」として活用

  2階以上では、日本酒の提供や、日本の居酒屋メニューを楽しめるレストラン(居酒屋)を展開。運営を担うのは、OneSelf(ワンセルフ)(和地貴史代表)。酒「歌舞伎城」も飲めるほか、モエ・エ・シャンドン ブリュットアンペリアルなど、歌舞伎町に相応しいお酒も多数用意し、訪日外国人旅行者や観光客のおもてなしに全力を尽くす構え。

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和風酒処 歌舞伎城のスタッフの皆さん。フレンドリーで気さくな方ばかりで、取材にも快く応じてくれた。

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日本酒の提供スタイル。これでちょうど1合となる。滴る酒がなんともいえない日本らしさを醸し出す。

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OneSelfの和地代表。「中核を成す飲食店事業を任せていただいた。しっかりと結果を出したい」と力を込める。

 「体験スペース」を用意しているのも大きな特徴。「和風酒処 歌舞伎城」のオープンは午後5時。それ以前の時間帯は日本文化の体験スペースとして活用することが決まっている。日替わりプランを用意するため、一週間、毎日訪れても異なる文化に触れることができ、来訪者を飽きさせない。実施時間は、1部と2部の2部制。午前10:30~12:30(1部)と、午後1:00~3:00(2部)にオープンする。アーティストの派遣やサポートを担う「アーティストサポート」が講師を揃え、日本文化の普及と周知を務める。

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写真は書道体験のようす。今回のオープニングセレモニーでパフォーマンスを披露した書道家の杉村凪絆氏(右)の説明に、みな熱心に聴き入る。

フォトジェニックな屋上

 屋上は現在仮の休憩スペースとして提供しているが、準備が整い次第「和風酒処 歌舞伎城」の店舗スペースとして利用をスタートする構えだ。ゴジラロードに面するビルのため、記念写真撮影にももってこいの場所として人気を集めそうだ。

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屋上からの展望とゴジラゴジラロードでも一番近くゴジラを撮れる場所かもしれない。

 訂正:「本記事は、2017年6月30日(金曜日)正午に、「ログバーの山崎貴之社長」を「ログバーの山崎貴之COO」と、「ウアェラブル翻訳機」を「ウエアラブル翻訳機」、「全国の空港で11のカウンター」を「全国の空港で14のカウンター」と改めました。お詫びし訂正致します。