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熊本県・蒲島知事に聞く、着々と進む観光復興への道 

2017年5月24日(水) 発信

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熊本地震で九州観光は大きな打撃を受けた。直接被災した熊本・阿蘇地区と大分の一部に加え、隣接の九州6県も宿泊キャンセルなどの影響を受けた。昨年7月からは「九州ふっこう割」が実施され、観光・宿泊客の回復など震災前に戻りつつある。ただ熊本城や、主要ルートの復旧などが残る熊本県の観光の再生に向けた課題は多い。復興に向けて取り組む熊本県蒲島郁夫知事に、観光復興への意気込みと将来展望などを聞いた。【聞き手=九州支局長・有島誠、構成=松本彩】(写真は、現在復旧が進む熊本城のようす)

 

蒲島郁夫(かばしま・いくお)熊本県知事

 熊本県立鹿本高校卒業後、地元農協に勤務。1968年、農業研修生として渡米し、1979年にハーバード大学大学院修了(政治経済学博士)。 筑波大学教授と、東京大学法学部教授を歴任した。2008年に熊本県知事に当選し、2016年より第3期を迎える。

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――震災から1年。観光業の復興について。

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 観光業復旧には、2つの動きがありました。1つは観光事業者向けに政府からグループ補助金が出され、復興へ向けて皆がやる気を出す後押しになりました。

 2つ目が熊本の観光業は熊本だけでなく、全九州へ影響を及ぼすことが今回の地震で分かったことです。国の支援を受けて、熊本、大分を中心に九州各県の宿泊施設で割引が受けられる「九州ふっこう割」という制度ができ、観光が盛り返しました。

 この2つが早い時期に打ち出されたことが、九州の観光の復活に結びつきました。政府の対策に大変感謝しています。

――観光客回復への課題とは。

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 1つは阿蘇が傷付いているという認識を変える必要があります。それとインバウンド対策です。海外の方は熊本城も傷付いていると感じるかもしれませんが、凛とした武将のような姿を、ライトアップのなかでは感じてもらえると思います。

 阿蘇くまもと空港の整備も進めたいと考えており、国内線と国際線が一体となったターミナルビルの建設を目指します。3路線あった国際線は震災で一旦運休しましたが、昨年6月に台湾の高雄線、今年4月に韓国のソウル線の定期便が再開しました。

 ソウル線は4月―10月末まで、チャーター便も運航します。県南の八代港もクルーズ船が今年は75隻、来年はそれ以上を予定しています。5千人以上が乗船するクルーズ船の対応も必要です。 

――新たな魅力発信について。

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 震災で私たちは失ったものもありますが、得たものもあります。それは熊本県民の絆がとても強くなったことです。それから、感謝の気持ちが満ちあふれ、おもてなしにつながっている。その気持ちが素直に伝われば大成功だと思います。

 観光地の魅力はもちろんですが、食べ物やおもてなしの心はより感動を与えてくれます。

 さらに、国際的に有名な「くまモン」の活躍も最大限に引き出したい。このほど知事直轄でくまモンの国際的な展開を行う体制を築きました。

 5月26日には熊本―高雄線を運航するチャイナエアラインが、熊本県くまモン台湾観光局の(口偏に屋)熊(オーション)、高雄市の高雄熊(ガオションション)のキャラクターを機体にラッピングした「三熊友達号」の運航を開始します。「ぜひこれに乗って熊本に来たい」という台湾の人たちが増えることを期待しています。

――将来の展望について。

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 これまで行きたいと思っていた人が、震災で思い留まっていました。しかし熊本に行きたいと思っていた人たちが19年のラグビーワールドカップハンドボール大会を機にやってきます。

 熊本城の天守閣も19年度中に完成します。20年度には国道57号北側復旧ルートと国道325号阿蘇大橋ルートも開通するなど交通インフラも整います。その時にインバウンドが戻り、熊本県の観光も正常に戻ると考えています。

 私が主張する「創造的復興」は、元よりも良い状態で復興することです。阿蘇くまもと空港では、新たなターミナルビルの建設を設計の段階から民間に任せます。港も八代港をクルーズ船対応にし、年間200隻が寄港できるようにしたいと思います。

 最後に、地震後にいただいたさまざまなご支援に知事として県民を代表してお礼を申し上げます。ただ、観光に来ていただくのもボランティアの1つだと思います。

 泊って、熊本の物を食べていただく。そうした旅行ボランティアになっていただきたいです。 

――ありがとうございました。

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写真は、阿蘇の外輪山や大観望へ向かう「ミルクロード」。黒川温泉へと向かう道すがら、雄大な景色を楽しめると好評だ。現在も通行可能で、蒲島知事も、「一番美しい道だと思う」と熱く語る。

 

 ※本記事は、本紙5月11・21日号の1面特集から一部を抜粋し、再編集しました。 全インタビューをご覧になりたい方は、以下リンクより、日経テレコンでご覧いただけます。

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